【高校・性の講演会】「性暴力被害にあうということ」著者、小林美佳さん。
性の授業、講演会記録です。今年は、初めて小林美佳さんをお呼びしました。
私も読んだことがあります。
当時の感想。
大変意義のある本だと思う。かなり後まで家族の応援や理解が得られなかったことに驚いた。性被害は見た目に分かるものではないし、本人が言わなければ周囲が知ることも無い。その上、公表することによりセカンドレイプを受けることもある。本を書いたことで2000人以上の被害者からメールが来たらしいが、被害届を出したのは20人。今後の著者の活動を応援したい。
続編も出ていたのですね。読まねば!
レジュメ、メモも見ず、生徒とまっすぐ向き合ってその場でポツポツとつむぎ出されていくことば。
6本の講演会も終盤に近づき、集中力が途切れがちな「出なきゃいけないから仕方なく出た」生徒たちも食い入るように聞いていました。
小林さんの、
「性暴力を語らず何年か経ってみて、自分は汚れてしまったのでしょうか?と聞いてみたくなり皆さんの前に立つようになった」
「性暴力被害を話すと言うことは、その相手を本当に信頼してのこと。それだけ信用に値する人でいて欲しい」
「私の話を聴いてくれた高校生がいたんだよ、という話を聞いて喜ぶ、声を上げられない10代の仲間がいる。ただここにいてくれるだけでありがとうと言いたい」
生徒の感想も、これらのメッセージに応える内容が多くありました。
以下、講演内容です。
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■小林さんの経験
仕事の帰りに駅から自転車をこいでいたら××駅はどちら?と聞かれた。
「こっち?分からないので詳しく教えて」
運転席に近づいた。
その仲の一人が、わたしのカバンを持って行ってしまった。手を差し伸べたらその手をつかまれ車の中に引きずり込まれた。タオルで顔を押さえられた。
殺されると思った。
目が見えない中で、カッターの音を聞かされた。
生きていたいとだけ思っていた。
何か聞かれたりはしたものの、「きゃあ、わぁ」なんて叫ぶことはできない。
男の人に押さえられて、ただ死にたくないと思っていた。
20分ほど経って、車から降ろされた。シャツも押さえて降りた。
性犯罪、性暴力と、どうにもこうにも自分の人生がつながらない
すべってのことが壊された気がした。
■信頼できる人はいますか?
こういう目にあったときに自分と置き換えてみてください。
話をできる相手はいますか?
母親に伝えることができなくて、父親なんてもっと、どうしても話すことができない。
浮かぶ顔が消えて行く。
助けてくれと言えるお友達がいない。
フラフラと公園の周りを歩いていた。
最終的に喧嘩別れしていた彼氏がきてくれた。
別にセックスをしたのは初めてではない。
でも、自分はとても汚れたモノで、社会のゴミだとおもった。
そのとき、自分が生理だった。
カッターで傷ついたらしい傷がある。
お腹に犯人の手形が、わたしの血のあとで固まっていた。
どうしようと思っていて、警察以外に助けを求める場所が他にない。
警察に行ったら、優しいことばをかけられて、体を拭いてくれたりすると思いますか?
写真を何十枚も取られ、そのまま女性の刑事に事情聴取を1、2時間された。
車の大百科を見て、どんな車でしたか?など、いろいろと聞かれた。
結局、犯人は捕まらず、1年経って時効になってしまった。
母親に何ヶ月か経ってその話をしたら、二度とそんな話をするんじゃないと言われました。
「社会にとって、自分は恥ずかしい存在になった」とこの母のセリフが後押しになったと思う。
■講演のきっかけ
色々な体の支障があらわれた。
新宿で仕事が終わって下りの電車に乗ったはずなのに、気がついたらまた新宿方面に向かっていることがあったり、テレビをつけたまま朝を迎えたことがあり、不眠になり、13kgくらい痩せてしまった。
あとは、お友達にあっても、元気じゃない自分と向き合うのがいやで友人にも会えなくなった。
似たような車が近くにいると突然倒れる。救急車で運ばれたこともある。
人が近くに立つと気分が悪くなる。
周囲の人に話をして行くわけにもいかない。
わたしは、また、なかったことになって生きていけるんじゃないかという気になった。
勢い余って結婚してみた。
一見受け入れてくれたように見えた。
ところが、結婚してみると、子どもが欲しいといいます。
致命的だったのは目隠しをされたこと。
こりゃだめだとショックを受けました。
絶望のような気持ちになったことを覚えています。
いつしか、ネットに逃げていました。
結構みんな、性犯罪被害者の人たちは同じような生活をしていることを知った。
たおれる、話ができない、という人と話しているとホッとする。
でも、現実ではなかったことになっている。
数年経ち、「私ってみっともないですか?はずかしいですか?」と聞いてみたいと思ってみなさんの前で話をするようになりました。
■出版してから
あったことなどを携帯に打って、メモにしてパソコンで編集したものをまめていたら、本にしたらどうでしょうかとお誘いがあった。
「性犯罪被害にあうということ」という本を出しました。
わたしの状況を書かれている本です。
その本を出すことで、野心はなかったのですが、実際に出してみておおきな変化があった。
私も被害経験を持っています。
と、何百通もメールがくるようになった。
このクラスにも、言わずに生きている人がいると思うのです。
多くの人が、言わないという気持ちを持つということがよくわかりました。
こどものころに被害をあった人。86になるまで10代の被害を話してくれる人もいた。
メッセージ性がないので申し訳ないのですが、ほんのちょっと役に立つことがあったらすごくいいとおもいます。
この場にいてくれるとすごくいいとおもいました。
■10代の性被害
私が出会った10代の子の話をさせていただきたいと思いいます。
皆さんと同じく高校生。小さい頃から父親とセックスをしている。
思春期に入りおかしいと思い始める。
1、2日家出してふらふらしていて、また家に帰ればまたお父さんとセックスをしなければならない。援助交際してホテルで男の財布からお金を取ろうとしてつかまってしまう。
でも、そのことを言い出せる場所は無く、家にも居場所が無い。
男の子も被害と無縁ではありません。
お母さんとお風呂に入っている。
ちょっとおかしいと思って母に伝えたら、お母さんは愛情が薄いのにね、と言う。
お母さんに体を洗ってもらっています。上半身はスポンジで洗うのに、下半身は手で洗ってくる。最近は、口で洗うわといってくる。
まだ、他の話をすると、身内から性的な虐待を受けていた女の子が親友に話をしたらしいのです。親友は親身になって聞いてくれなかったと女の子は感じた。
イラついた女の子は、人を使って相手の子を傷つけてしまった。
そうしないで欲しいと言うお願いなのかもしれません。
そう言う環境にいる人がいると言うことを知っていて欲しいです。
打ち明けられても助けることが難しいのかもしれない。
じゃあ、高校は隠し事をしていても、大学でも・・・就職や結婚、恋愛もうまくいかない、人と変わったことをしてしまい、精神科の入退院を繰り返している人がいる。
そう言う人は、周囲の人に恵まれなかった人が多い。
周囲の理解があるかないかで、
人間の尊厳をボロボロにしてしまっている。
■信頼している相手にしか打ち明けない
特別視はしないで欲しいが、軽くも使わないで欲しい。
信頼しているのだから、打ち明けているのだとわかって欲しい。
そのなかでも、ベストの対応ができるように心がけて欲しい。
そんな答えはまったくない、抱きしめて、大変だったね、という答えがあるが、お互いの関係の中で打ち明けれたからといって関係を切らないで欲しい。
信頼できる誰かになることが一番の支えになる。
■性犯罪の加害者
加害者の話をしようと思います。
さっき、ちらっと話した本が刑務所に差し入れられて届いて目に触れることがあります。
18人の受刑者の方から手紙をいただきました。再犯です。
その人たちのくれる手紙は、1通目はかならず謝罪、反省です。
文通が始まるわけです。
すると、いろいろなことを話してくれるようになる。
ちょっとずつ性の話をしたがるようになる。
「道を歩いている女性が好みの人だと、生活が気になってしまう。
どんな身体なんだろう?気がついたら、部屋に押し入り押し倒している。
この衝動を押さえられないのに、罰せられる。
小林さんの好きなチョコレートを食べたら懲役3年だったら困るでしょ?
自分にとってはそれは同じことだ。」
彼にとっては、反省とか難しいのだなと考えられるようになった。
他の受刑者の手紙。
「小林さんの犯人が羨ましいと感じました。
だって、僕はつかまってしまった。
僕は、つぎは小林さんの手口を真似しようと思います。」
加害者と向き合うのは無理だと思いました。
■被害者の救い
今まで3600人の被害者たちにあってきました。
何が自分の救いになりましたか?という質問をしてみました。
「理解」という漠然とした答えが出てきました。
犯人が捕まって欲しいという願いなどではない。
現場検証の日に、警察手帳を見せてくれた。
顔写真に、舘ひろしが貼ってあった。思わずぷっと笑ってしまった。
多くの被害者は、自分のことを思ってくれる人は少ないと感じ、自分の尊厳をボロボロにしてしまっている人が多い。
私のことを思っているんだな、と感じることができた。
再度その刑事さんに会うことができて、真意を聞いてみた。
小林さんは警察に来たときから一度も笑ってなかった。
本当につらい思いをしているのだと感じ、現場検証では何がなんでも笑わせたいと思っていた。
私の求めるものと、相手が考えてくれたことが一致した。
そのとき素直に表現できるような人であって欲しい。
この中にいるかわかりませんが、性被害にあっている人は自分のことを大事に思えない人が多い。
この場にいてくれて、本当にありがとうございました。
聞いてくれなくても、マンガを読んでいたとしても、それでもここにいてくれたことは私を勇気付けます。
今日も、高校生が聴いてくれたんだよ、と10代の周囲に言えない若者たちに伝えます。
その子たちもよく聴いてくれた、と喜んでくれるんだよ。
では、聴いてくださりありがとうございました。
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性って部分的なように思えるけれど、人生全体に関わってくることなのだと改めて講演を聴いて感じます。
興味のある方は小林さんのサイトをご覧ください。
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